藍の効果
- 【生地の強化】
- 藍で染めると生地が強くなります。
- 【消臭・解毒作用】
- 皮膚の雑菌の繁殖を抑え、消臭効果があります。
- 【防虫】
- 藍の匂いが虫・ヘビを寄せ付けにくくします。
藍染製品ができるまで
阿波藍には一年草のタデ藍が使われます。
一般的に3月上旬の大安の日を選んで種まきが行われ、6・7・8月に成長した藍葉を刈り取ります。
刈り取りが終わると今度は、藍師による藍染めの染料・すくも作りが始まります。9月上旬の大安の日を選んで寝せ込みが行われ、約100日程かけてすくもを完成させます。出来上がったすくもは、実際に染色を行う人の手により発酵(藍を建てる)され、美しい紋様や色合いの製品となります。
タデ藍の栽培
タデ藍は生命力が強い植物で、ぐんぐん成長しますがアブラムシなど害虫被害に注意が必要です。
一般的に春に種を巻き、何回かに分けて夏に刈り取りを行います。
- 【苗】
- 種をまいて1ヵ月少々の状態。 畑に植え替えます。
- 【花】
- 藍の花です。 白い花を付けるものもあります。
すくもづくり
藍葉を発酵・熟成させたもの。乾燥→寝せ込み・水内→切り返し→むしろ着せと、藍葉の刈り入れから約100日もかけて作ります。
保存が楽で比較的時期を選ばずに藍を建てることができ、色落ちが少なく濃い色に染まります。
- 【藍玉】
- 運搬し易いよう、すくもを臼で小さく突き固めたもの。
- 【出荷の状態】
- 藍玉が入っている袋です。日本各地に出荷されます。
染める
水に溶けない藍を、水溶性にするため藍甕(あいがめ)を28度前後に温めながら発酵します(藍を建てる)。 建て終わった藍甕→空気に晒す、を往復して濃紺を調節し、最後に水洗いで完成。
- 【藍の華】
- つやつやとした泡。大きな膨らみは藍が元気な証拠。
- 【藍甕】
- 藍甕として大物の焼き物・大谷焼も発展しました。
阿波藍の歴史
吉野川 中流域
刈り取った藍葉を乾燥している様子
日本に伝来したのは飛鳥時代(538~645年)頃とされており、山藍で生葉染めなどを行っていたそうです。
徳島の藍栽培の正確な起源は不明ですが、平安時代には山岳地帯で阿波忌部(あわいんべ)氏が作る織物の染料として使用されていたそうです。
鎌倉時代の書物(1248年)には、現在の阿波藍の品種・タデ藍を栽培し、衣類を染めた様な記述が残されています。 1445年の書物『兵庫北関入船納帳』にも、阿波からたくさんの葉藍が現在の神戸港に出荷されたという記録があります。
本格的な阿波藍の栽培は、1575年、徳島藩主となった蜂須賀家政が、旧領の播州から藍の苗を取り寄せたところから始まりました。
江戸時代(1600年代~)ともなると、藩の奨励を受け阿波藍は隆盛を極めます。木綿生産が急増し、最適な染料として藍の需要は急増。吉野川流域の豊かな土壌で栽培される阿波藍は、質・量共に全国の市場を席巻しました。
当時の日本の人々の衣類は藍で染められ、布団、手拭、座布団、暖簾など、衣類以外の様々なものにも藍が活用されました。
古来より行われていた生葉染めから、色落ちしにくい現在の様なすくもを使った染色方法とが伝えられたのは、蜂須賀家政が徳島に入る前の戦国時代です。
戦乱が続く将兵たちの間で、解毒・防虫効果のある藍で染めた鎧下が、皮膚の保護に良いと大流行。そこに目を付けた三好義賢(みよしよしたか、1949年に室町幕府の実権を事実上掌握し、天下人 となった武将・三好長慶の弟)が、堺からすくものの職人・青谷四郎兵衛を招聘。 三好市の拠点だった勝瑞城下にてすくもを披露したところ、品質の良さが評判を呼び、たちまちすくもの製法が広まります。 藍は天下統一を目指す三好軍の潤沢な資金源としても、重要な役割を果たしました。
阿波藍の全盛期は明治時代で最大約1万5000ヘクタールもの栽培面積を誇ったそうです。 その後、良質なインド藍の流入、インディゴなどの化学染料の普及と共に作付け面積は激減。その技と技術を途絶えさせてはならないと、1978年、阿波藍は国指定文化財に登録されました。
近年、天然染料の良さが見直されており、再び需要が高まりつつあります。
藍染体験
~布を藍で染めてみよう!~
まずは輪ゴムや木片などを使って、藍に染まる場所・染まらない場所を作ります(絞り染め)。
次に水に付けた染めたいものを入れてよ~く絞ります。
藍甕にそっとひたす→空気に触れさせる、を繰り返すと、色がどんどん濃くなります。
「藍染工房 楓(ふう)」藍染体験
- 1
- 木綿のハンカチを好みの位置で縛り、水に浸す
- 2
- 藍甕にくぐらせる
- 3
- 布を空気に触れさせる
- 4
- 水で洗う(この時は3回繰り返し)
- 5
- アイロンをかける
- 6
- 完成
●『藍染工房 楓(ふう)』詳細 ●
藍師技能保持者・無形文化財・佐藤昭人氏が、 江戸時代から続く技法・[木灰建醗酵建(もくばいだてはっこうだて)] で作る藍(すくも)のみを使用する工房。
藍の状態が良い日に、1日約5名まで藍染めを体験することができます。要予約。
藍の濃淡による色の名前
- 瓶覗き(かめのぞき)
- 水浅葱(みずあさぎ)
- 浅葱(あさぎ)
- 花色(華色)
- 薄縹(うすはなだ)
- 浅縹(あさはなだ)
- 縹色(はなだいろ)
- 納戸(なんど)
- 藍
- 紺
- 濃紺(のうこん)
- 褐色(かちいろ)
阿波藍の商品 一例
ハンカチ、スカーフ、靴下、衣類などの布製品や、木材、革製品など、様々な藍染商品があります。
- ハンカチ
- スカーフ・ネクタイ
- 衣類
- 木工製品
- 草木染め
- フラワーアレンジメント
- 阿波しじら織り
- アクセサリー